講義内容
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<到達目標> 地域社会学的環境変動論(環境社会学/災害社会学)の視角から、現代社会の諸事象を批判的に検討して小論にとりまとめることができるようになることを、この授業の目的とします。
<講義概要> この授業「地域社会学B-2」は「環境・災害・コミュニティ」を扱います。社会学関連学会に登録されている研究領域にしたがえば、「環境社会学」(あるいは「災害社会学」を含む)になります。 「環境社会学」の対象は,地球温暖化やオゾンホールの拡大,希少種の保護ばかりではありません。それらを対象とするのは「環境社会学」というよりはむしろ,広義の「環境学」でしょう。 社会学の一分野としての環境社会学では,そこに生活を賭ける人々にとってのかけがえのない生活・社会環境に目を向けます。古今内外の人々の生活に想いをはせてみて下さい。また,あなた自身にとって,かけがえのない生活・社会環境とは何でしょうか。 例えば…。住み慣れた我が家をある日突然,自らの意思とは別に失うということになったとしたら…。大規模自然災害に遭遇した被災者,大規模地域開発(ダム建設や高速道路・空港建設など)で立ち退きを決められた生活者,大規模空襲(空爆)で命だけは助かったけれど我が家を失った人々…。劇的な居住環境の変容を経験させられた人々の生活も環境社会学の研究対象となります。 こうした事例・論点を幅広く渉猟しながら,環境社会学の成り立ち(学説史)や地域社会の実践例などを学んでいきたいと思います。 東日本大震災について現地調査を重ねているので、適宜、その概況を盛り込みつつ、授業を展開していきます。
<授業の形態> 授業は講義形式で行います。一つのテーマはおおよそ3週ほど。テーマに関連する資料をプリントとして配布し,またビデオ等を援用して理解を深めていきます。配布された資料等を翌週の授業までに熟読してきてください(予習)。また、授業時にこれら資料に書き込み、それを復習の素材としてください。 一つのテーマの講義が一段落したところで,授業内小レポート(この授業では「分査レポート」と呼びます)を執筆していただきます。
<講義計画> 前期「地域社会学B-1」では、環境社会学の学説史を紐解きつつ、 ・環境社会学的調査研究方法論(rapportの位相) ・水辺(河川・海岸の堤防等)の環境社会学 ・ヒートアイランド現象への環境社会学の視点 について検討してきました。後期「地域社会学B-2」では、これをベースに、以下の内容について検討を加えていきます。
以下の内容を全15回の授業で取り扱う。 (0) 初回授業概説:扱うテーマ、分査レポートの仕組みと執筆法、などの説明(1回) (1) 社会生活環境の激変を扱う環境社会学の一領域としての自然災害,被災生活研究(1回) (2) 戦災・震災=被災生活の連続性と生活再建:関東大震災・東南海地震(+三河地震)・東京大空襲(2回) (3) オキナワの戦災と復興・振興(2回) (4) 阪神・淡路大震災の大延焼被災地(神戸市長田区御蔵地区)の長期復興過(課)程(2回) (5) 雲仙・普賢岳噴火災害、直接被災地・上木場の生活再建過(課)程(2回) (6) 都市再開発に翻弄される人々の生活を扱う環境社会学(2回) (7) 原子力発電所周辺地域についての環境社会学的調査事例研究(2回) (8) 最終授業日に授業内試験(45分・100点満点、持ち込み不可)を行います。(1回)
<実務経験> 当該授業科目においては、認定NPOまちコミュニケーション理事としての実務経験を活かし、地域社会学的環境変動論(環境社会学/災害社会学)の視角から、東日本大震災について現地調査の概況を盛り込みつつ、環境社会学の成り立ち(学説史)や地域社会の実践例などについて講義を行う。
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教科書・参考書
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●教科書:大矢根淳他編『復興コミュニティ論入門』弘文堂,2007年 ●上記の教科書の他、授業ではその都度,参考となる文献・資料名等は板書しますので,必要に応じて,興味にしたがって各自目を通しておいてください。環境社会学の概要を把握するのに便利な文献を以下に「参考書」として紹介しておきます。 飯島伸子他編『講座環境社会学』(第1巻~)有斐閣,2001年~。 飯島伸子編『環境社会学』有斐閣,1993年。 環境社会学会『環境社会学研究』(第1号~),1995年~。 木村周平他編『災害フィールドワーク論』古今書院、2014年。 清水展編『新しい人間、新しい社会』京都大学学術出版会、2015年。
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成績評価方法・基準
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平常点(100%) 授業内容が一段落した際(2~3週ごと)に,授業内小レポート(「分査レポート」)を執筆していただきます(各セメスターで3回程度)。最終授業日に授業内試験(45分、100点満点)を実施します(正解発表=自己採点,解説・全体講評を試験終了直後に行います)。 授業内小レポートの総点に授業内試験100点を加えて、これを100点に圧縮して評価とします。
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履修上の留意点
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履修希望者は初回授業に「必ず」出席のこと。受講上の諸注意事項(約束事)、授業内小レポート(「分査レポート」)の執筆・提出規定等,学年末試験の問題構成・回答方法等について初回の授業で「一度だけ」詳しく説明しますので、必ず出席してください。 準備学習においては、配布プリント、教科書・参考書の各回の授業内容に該当する範囲を読み、授業での議論に備える。事後学習においては、授業でノートしたことを整理し、関連文献を読むなどして、理解の深化に努める。 授業内小レポート(「分査レポート」)については翌週の授業内に、最終授業日の授業内試験については、試験(45分)終了直後に正解発表・講評・質疑を行います。
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担当教員へのアクセス
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月・火・水曜日の朝9時~夕方6時。この曜日・時間帯は生田キャンパスにおりますが、会議等のため研究室を不在にすることがあります。
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その他
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初回の授業で,上述の「評価方法」に加えて,履修者に熟知・了解しておいてもらいたいことを数点伝えます。履修希望者は初回授業に必ず出席して下さい。
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更新日付
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2019/06/19 11:29
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